ライオン・キング2019を見て白色テロの時代の雰囲気を想像してみる

01.台湾の歴史を知る

*内容にネタバレを含みます
先日ライオン・キング(2019版)を見た。CG版にリメイクされたものだ。

私は小さいころディズニーアニメの「ライオン・キング」が大好きで、何度も何度もVHSのテープが擦り切れるくらい見ていた。

それがリメイクされたということで、映画館に見にいったのだ(映画を見にいったのは2019年)。

そしたら子どもの頃とは違う別の目線で、興味深くライオン・キングの世界を見ることができた。

<あらすじ>
動物達を治めるライオンの王ムファサの息子、シンバが主人公である。

様々な動物たちが暮らす国土豊かな国プライドランドを治めていたムファサは動物たちから信頼を集めていた。しかし、その弟のスカーに殺される。主人公シンバもスカーに襲われるが、間一髪で生き延び、故郷から遠く離れた森に逃げる

一方、プライドランドでは、スカーとその子分のハイエナたちによる恐怖政治が行われることになった…。

 

今回のリメイク版にはアニメ版と比べて新しいシーンがいくつか追加されていた。何より光っていたのは後半の次のシーン。

 

シンバの幼なじみナナが恐怖政治のプライドランドから抜け出して外の世界に助けを求めに行くのだが、「外に助けを求めにいかなければならないほどの恐怖政治の現状」が丁寧に描かれている。

スカーは特権階級のハイエナ達が食欲に任せて狩りをすることを許しているので、草食動物が減り、肥沃だった土地も荒れ果ててしまっている。エサは少なく一般民衆の生活は苦しい。

さらにスカーによる恐怖政治の下ではハイエナ達が居住地を始終巡回しており、ライオン達は自由に会話ができない(政治に関わることは特に)。

まるで、常に監視の目がある台湾の戒厳令の時代や日本の隣の国の話のようではないか。

またザズーという鳥が、プライドランドで起こっているニュースをライオン達の所に話しに行くも、ハイエナに追いやられる。情報が厳しく制限されているのだ。

このような中ナナは監視の目をかいくぐり、夜にプライドランドを抜け出そうとする…。

動物界の話として描かれているが、これはまさしく人間の話だろう。

常に監視の目を気にしなければならない息苦しさが伝わってきた。台湾で38年続いた戒厳令の時代とはどんな風な雰囲気だったのか、少し想像ができた気がする。

ただこれは過去の話ではなく、現在の地球上でも起こっているということも忘れてはいけない。

この息苦しさの雰囲気は見てみないと伝わらないので、是非今作品を見てみてほしい。

 

 

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