夏休みに見たい!台湾が舞台の映画「トロッコ」。祖父母宅でのひと夏の思い出

(C) 2009 TOROCCO LLP
01.台湾の歴史を知る

夏休みにピッタリの台湾が舞台の映画を紹介します。

それは「トロッコ」(2009 川口浩史監督)。

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あらすじ

芥川龍之介の小説が原作の日本映画ですが、舞台は台湾です。花蓮の林田山林業文化園区がロケ地になっています。

もし自分に台湾の祖父母がいて小学生の頃に遊びに行ってたら、こんな夏休みを過ごしたのでは…と思えるような、夏を思い出させる少し切ない内容です。

主人公の祖父母は日本語世代で、日本語が話せるという設定です。

この設定だけで泣けますね…。

見たら”夏の台湾”に行きたくなる、そんな作品です。

予告編だけでもぜひご覧ください。


この映画を見終わると想いがあふれてきたので書き留めておきます、以下ネタバレとなります。

以下ネタバレです!ご注意ください。

自然の神秘的な美しさ

ネットで「トトロの森とはきっとこういうところだったのだろう」 というコメントがあったけどまさにその通り。

始めはなんてことない道だったけど、 どんどん霧が出てきてトトロが出てきそうな神秘的な、現世とは別の世界に通じているような、そんな道へと変わっていきます。

台湾家族のおもてなし

主人公たち家族が台湾人家族たちから受けるもてなしは、まさに日本人が台湾で受けるもてなしそのものですね。

わいわいとあったかい感じ。

日本人だと分かると日本語で話しかけてくれる人々。そのちょっとした気遣いが嬉しいんですよね。

日本語世代の描き方

日本語世代の人々の苦悩もしっかり描いています。

「日本人のようになれと頑張って勉強して戦争で戦ったけど、日本人としては扱ってくれない」というおじいさんの嘆き。

彼らの悲しみは、私が理解できるようなものではないでしょう。

戦後の変化についていくことができず、子供に当たったというおじいさん。 こんな風に、時代についていけずに置いていかれた人々の存在を忘れてはいけない。

台湾では戦後国民党による支配で社会の体制だけでなく、使われる言葉も変わりました。世代間の断絶は大きいです。 

*祖父役の洪流さんは、1949年に台湾に来た外省人のため台湾の日本語世代ではありません。祖母役の梅芳さんは1936年生まれのため、日本語教育を受けていた可能性はあります。

強面の優しいおじいちゃん

怒っているような表情でおっかないおじいちゃん。

けど、 孫を連れてトロッコの場所を探そうとしてくれたし、お母さんに叱られているところを慰めようとしてくれた( 正確には、 間に入ってくれた)。見かけによらず優しいじいちゃんなのである。

森の中の怖いおじいさん

なぜあんなにも丁寧な日本語を使ったのだろう。

「 私はーーーと申します。

 遠いところからはるばるようこそいらっしゃいました。歓迎いたします。」

まるで、現実ではない妖精というか、亡霊のようだった。

日本語世代の人々は、こんな風になってしまうのだろうか。台湾の歴史の中で忘れ去られてしまい、こんな風に現実味をおびない存在になってしまうのか。

日本につながっていると思った…トロッコの線路

「 小さい頃は、日本に繋がってると思っていた。」というトロッコの線路。 今は道路になっていた。

「日本は、こんなにも遠くなってしまったのか」と絶望するおじいさん。場所を思い出せないほど年月が経ち、気づいた時にはもう日本は遠く遠くへ行っていた。

「日本が遠くなった」 これは実際に日本語世代の人が感じた気持ちではないでしょうか。

台湾の木材と日本

映画のロケ地として使われたのは花蓮の林田山林業文化園区。

日本統治時代には「森坂」という名前の集落で、ベニ檜やタイワンヒノキなどが伐採されていました。

切り出しだ木材は近くの平林駅まで軽便鉄道で運ばれていたそうです。

私は2018年1月に訪れたのですが、大きな木々が生い茂っており、映画を忍ばせるような日式家屋も残っていました。

林田山林業文化園區サイト https://recreation.forest.gov.tw/Forestry/CP?typ_id=0800021

今回の映画の感想は2017年に見た時のメモをもとにしています。

作品情報

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