送水口を通して台湾の街を見る

02.マニアック紀行

全く意識してなかったのに、知った途端に”それ”が世界にあふれていることに気づく、そんな瞬間はないでしょうか。

 

ただの雑草が「ハマスゲ」という名のあるものだと分かったときかもしれないし、
ただの鉄の蓋が「マンホールの模様」として見えてきたときかもしれないし、
ただのBGMのようだった外国語の曲が、意味をもつ言葉として耳に飛び込んできたときかもしれない。

 

私の場合は送水口がそれでした。

存在を知ってしまったら、見えてくる。

街なかにひっそりと身を隠して、周りの風景と同化している。けれども彼らはそこにいる。

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送水口とは

送水口とは、万が一火事が起きた時に消防車からホースで水を建物内に送り込むための消防用設備です。

一定規模以上の建物(高層ビル、大規模店舗、病院、劇場など)では、スプリンクラー設備・屋内消火栓設備の設置が義務化されています。

これらの設備には、外部から水を補給できるように送水口を設けなければいけません。

 

台湾でも細かい規則は違いますが、一定規模以上の建物に必須なのは同じです。

送水口のデザインの多様性

個体ごとに微妙に形、色、材質、「送水口」の文字フォントが違います。
特に台湾では管がむき出しのものが多く、管を含めて全体の違いを観察できます。

送水口というと基本的に正面を向いているものが多いかと思いますが、台湾だとそっぽを向いていたり、下を向いていたりと自由度が高めです。

送水口はどこにいるのか

ビルの1階の柱の横に隠れていることが多いです。ビルとビルの隙間にもいますね。

新しい大きなビルでは道路に面した端っこにいます。

台湾らしい送水口の魅力とは

台湾の送水口は生活感があふれていて、種類や表情がユーモラスだなと思います。

送水口の周りにあるものたちから、その周辺の人々の暮らしまで想像できるところが魅力ですね。

日本にもいる丸いやつ

イタズラ防止のためかビニールが巻かれてます

下の影に注目です

物置にされてるやつ

観葉植物が置かれている。消防設備というより、お店の一部のような扱いを受けている。

モップが立てかけられている。ちょうど良いところにあるから立てかけてしまえという思考が読める。

ホースと仲良し

やたらと首が長いやつ

背伸びしてる感じ

右奥にもいるね

 

ながーーい

細胞分裂してるやつ

送水口ってこんな風に細胞分裂で増えるんですね。笑

こちらも上からニョキっと生えてます

ニョロニョロ

台湾では送水口が仲良く並んでいるのをよく見かけます。なんかニョロニョロみたいですよね。

これは法律でビルの各階層ごとに送水口を設置することが決められているためで、“消防隊がどの階でもすぐに水を使えるように”という法令上の工夫なのです。

なんか守られてるやつ

ぶつかるのを防止するため、ポールが置かれています

タイヤが巻かれている!これには驚きました。でもこれは送水口のお口を塞いでしまっているのでよろしくないですね。

なんか挟まれてるやつ

この個体を見たときに、「か、かわいい」と思ってしまったんですよ。

この無造作にスポンジが挟まれてる感じ!「鼻がむずむずするぞ」という声が聞こえてきそうです。

送水口の師匠

私が送水口を知ったきっかけには、師匠の存在があります。

それは送水口博物館調査員ことAYAさん。

2015年5月にAYAさんが新潟に遠征に来られた際に、一緒にまちあるきをさせていただきました。

その時は『送水口…とは…(?_?)』という状態だったのですが、AYAさんが街中にある送水口をどんどん見つけ出し、その送水口の特徴やどこが魅力的なのかを解説してくださいました。

あれから街を歩いていると目に入ってくるようになり、気がつくと送水口の世界に。笑

こんなにも街の見え方が変わる視点を教えてくださったAYAさんには本当に感謝しています。

AYAさんのブログ 送水口倶楽部

終わりに

送水口収集が趣味として優れている点は、ほぼすべてのビルに送水口の設置が義務付けられているから、日々見つけられること。

日々収集できるというのは素晴らしいことです。

探しに行って見つけ出す楽しみもよいけど、日常に紛れているものにふとした瞬間に出会うというのもまたよいものです。

番外編 消火栓

消防設備仲間として、「消火栓」というのもあります。

消火栓は地面や道路にある水源で、消防車がここから水を取ります。

消火栓は水を供給してくれる場所で、送水口は建物の中に水を送りこむもの。対になる存在です。

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