九族文化村で原住民文化への敬意と創設者の並々ならぬ努力に触れる

02.マニアック紀行

台湾中部南投の日月潭近くにあるという「九族文化村」。

台湾の原住民のテーマパークだという。

原住民がテーマってどういうことだろう。

彼らを見せ物にしているのか…と初めは疑った見方をしていた私だが、

帰る頃にはすっかり九族文化村のファンになっていた。

また来たくなる、どんな変化が起きているのか見に来たくなる、そんな魅力ある場所だった。

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九族文化村とは

1986年7月27日にオープンした「台湾の原住民」を主題としたテーマパーク。

原住民文化の紹介やパフォーマンスだけでなく、一般の遊園地のようなアトラクションも楽しめます

九族文化村創立時の1986年当時はヤミ(タオ)族、アミ族、ルカイ族、プユマ族、サイシャット族、パイワン族、ブヌン族、ツォウ族、タイヤル族の9部族だけだったのでこの名前になったということです。

2020年現在、台湾の原住民は正式には16部族が認められています。

エリアは大きく3つ

九族文化村は大きく3つのエリアに分かれています。

北側の原住民集落エリア

真ん中の遊園地エリア

南側のヨーロッパ庭園エリア

こやま
台湾人の友人からすると、一般的には「遊園地」のイメージが強いみたい

台北から九族文化村への行き方

台北から直行するには大きく分けて3つ。どれも乗り換えがあります。

  • 台鉄(在来線)

台鉄台北駅→台鉄台中駅→南投バス台灣好行6670で九族文化村へ直行*(九族文化村行きは数に限りあり)

  • 高鉄(新幹線)

高鉄台北駅→高鉄台中駅→南投バス台灣好行6670九族文化村へ直行*

  • バス

台北駅バスターミナル→埔里バスターミナルで6665、6666、6667線のバスに乗り換え→九族文化村へ直行

  • その他

台北からバスで直接日月潭まで行って、そこからロープウェイで九族文化村に行くという手もあります。kkdayなどである台中市内からのチャーターバスを利用する手も。

こやま
今回高鉄台中駅からのバスに乗ろうとしたら満席で一本バスを見送ったので、台鉄ルートで行くのが個人的にはおすすめ

いざ九族文化村へ

入口すぐのところで「九族文化村によく来てくれたね」と言っているような建物が出迎えてくれました。

原住民集落エリアへ

遊園地エリアからゴンドラに乗って原住民集落エリアへ。

このゴンドラがオーストリア製でした。安定していて揺れにくく、静かで快適な旅って感じ。

高度40メートルからは九族文化村全体の敷地が見渡せてスケールの大きさに息をのみました

そう、この時から驚きの旅は始まっていたのです…。

山桜がたくさん植えられていて、2月に見頃を迎えるそうです。見にきたい。

「娜魯灣(ナルワン)劇場」

分かりにくいですが、正面には大きな石があります。この巨石は元々ここにあったのを残したものらしいです。

台湾原住民のダンスパフォーマンスに感動

園内では原住民のパフォーマンスが楽しめます。

電光掲示板に字幕が流れるので何の部族の踊りをしているのか分かります。ありがたい。

アミ族、タオ(ヤミ)族、サイシャット族、ツォウ族、プユマ族などの踊りがあり、数えてないのですが9部族ぐらいあったのでは…。

台湾各地に足を運ばなくても、台湾原住民の様々な踊りを楽しめる豪華なメニュー。それぞれの部族の伝統的な踊りの中から面白い部分を集めたダイジェスト版でした。

似たような動作のダンスが続くことはなく、間に火を起こすパフォーマンスを入れたり、玉を投げる儀式の様子を入れたりなど、飽きないように工夫されていました

個人的には、髪ダンスという長い髪を流した女性が頭を前後に振るダンスがギョッとしました。こんな踊りがあるなんて!

そこに暮らしたであろう人々の様子が見れる

原住民博物館エリアには屋外に復元された原住民の伝統家屋が再現されています。

一番驚いたのが首狩で狩った首が置いてある祭壇でした。ここまで再現するのかとまじまじと見てしまいました。この祭壇には魔除けの効果もあったようです。

園内は時間によっては民族衣装を来たスタッフさんがパフォーマンスをしてくれます。私が行った時はこの祭壇で巫女さんが魔除けの儀式をしていました。

他にもボールを投げる儀式の様子を実演してました。(写真には人形のみでスタッフさん写ってないですが)

こういう風にスタッフさんが実技をしてくれることで、実際にどんな暮らしをしていたのか分かるので良いですね。こういうミニパフォーマンスはディズニーやUSJとかにもあるのでそういうところから取り入れたのかな。

伝統家屋もたくさん

伝統家屋はきれいに整備されていました。日本語の案内もアプリから聞けます。

パイワン族の家の中に明らかに兵士(日本兵?)と思われる人々の様子が刻まれていて、何を意味するのかすごく気になりました。知っている人がいたら教えてください。

人形もたくさん

人形が大好きなわたくし、この人形達のために足を運んだと行っても過言ではありません。

各地に人形がいてとても楽しかったです。

パイワン族の頭目の家にて、狩りに成功した者に髪飾りを与える儀式の様子

凛々しいお姿です。お腹の刺青模様が気になります。

サイシャット族のパスタアイ というお祭りの最中の様子の彼。どこを見つめているのか…

病気の治療中です。

隠れミ●キー的な豚さんたち

パイワン族は家の中に豚を飼う習慣があったようで、家の中に豚がいました。

この豚さんたちの様子が毎回違うんです…。

かわいい…。

子豚もいる…。

隠れミッキー的な楽しさがありました。

凶暴そうなのもいた!

丁寧なメンテナンスやサービスから見えた“想い”

ほんと正直言うと原住民を見せ物として扱うテーマパークなんてどんな場所だよという気持ちで来たんですが、実際に行ってみて手のこみように驚きました

伝統家屋には蜘蛛の巣はなく、虫がつかないように燻製で燻してある匂いがしました。

また、雨が降ったら外に出ている人形に布が被されていて、人形の劣化を防いでました。

台湾で従業員にこういう時にはこうするんだよというルールを徹底させるのは簡単ではありません(経験談)。どういう指導をしたらこういう風に徹底できるんだろう…。

スタッフさんも目があったらニコッとしてくれる。日本だと当たり前なんですが、台湾ではサービス業であってもなかなかないことなのです。教育が徹底されている…。

伝統家屋は丁寧にメンテナンスされ、従業員にもサービスの教育がなされている。こうした様子から、原住民文化を心から尊敬しているというのが伝わってきました。

1986年に創設し、34年も経営を続けていくなんて努力なしではできません。

日本や台湾でいろんなテーマパークに行きましたが、並大抵の努力をしないと残せないものです。

創設者がどんな方なのか調べずにはいられませんでした。

創設者 張栄義氏「常に変化し続けること」が経営哲学

旅奇「看見好的台灣」より 張栄義さん

創設者は張栄義(張榮義)さん。1928年生まれの92歳。

台中県豊原市の出身で、システムキッチンの製造や谷関温泉の観光事業で成功を修めた人物です。

台湾をより深く理解するために原住民文化をしっかりと残すことが大切だと考え1986年に九族文化村を創設しました。

「止まることなく常に変化し続けること」を経営哲学とし、1992年に遊園地エリアを開設してから3年ごとに数億元をかけて新しい設備を導入しているそうです。数億元!!!

この経営哲学を知ってとてもしっくり来ました。

園内ではその変化の様子が見て取れたのです。

例えば園内にある人形。

多分アップデート前の木彫りの人形

一体一体表情が異なり、丁寧に作られているのが分かる人形

人形もアップデートの形跡がありました。

多分もともと人形は木でできたあまり見た目のよくないものだったのだと思います(上の1枚目の写真)。園内にいくつか残っていました。

2枚目の写真のような人形は30年前からある割には保存状態が良いなという印象だったので、多分後から作り変えられたのでしょう。

ヨーロッパ庭園エリア。原住民エリアとは全くの別空間です。

やはり、34年も残すためにはそれなりのお金の投資が必要です。

数年ごとに億の単位の投資を行うなんて、これまで一体いくら投資してきたのか…。

お金の投資だって簡単にできるわけではない。このテーマパークを残していくんだという強い意思がないとできないことですよね。張栄義さんの九族文化村への想いがこめられている気がしました。

ちなみに遊園地エリアの設備にどのくらい投資がされているか公式ホームページで分かります。

興味のある方はご覧ください。

https://old.nine.com.tw/webc/html/introduction/02-3.aspx

張栄義さんインタビュー(旅奇) https://b2b.richmarcom.com.tw/newweb/news_into.aspx?Second_classification_id=44&Subject_id=30959

こやま
張栄義氏の「常に変化し続ける」という経営哲学。これは自分も大切にしていきたい

帰り道に聞こえた歌声

帰り際に最初の入り口の建物に行きました。

するとどこからか歌声が。

パフォーマンス部隊の人たちがジャージを来て歌の稽古をしていたのです。

コーチのような人が指導をしています。

こうやって訓練を続けているのか…。

より良いパフォーマンスのためにこんな風に熱心に練習を積んでいる姿に心打たれました(客がから見える場所で練習するのはやや疑問が残るのは置いといて)。

九族文化村は素晴らしい場所ですが、一方でまだまだ改善の余地はある場所でもあると感じました。

原住民博物館エリアと比べると遊園地エリアの取ってつけた感が否めません。

日本の土産を売っている施設の中にトルコアイスの店があるなど方針がブレブレ。設備の掃除やメンテナンスの様子を見ても明らかに差がありました(きっと担当者が違うんだろうな…)。

でも、九族文化村はそういう部分をきっと改善していくでしょう

確証はないけれどそんな気がする。

次行くときにはまた何か変化があるかもしれない。良い変化が起こっているかもしれない。

この期待はきっと裏切られないと思う

九族文化村はそんな想いにさせられた場所でした

おまけ:遊園地エリア

正直に言うと、遊園地エリアは普通です。というか日本の田舎の遊園地のように小規模です。遊園地でアトラクションに乗りまくるぞ!というテンションで行くと少しガッカリすると思います。

良い点は、ほぼ待ち時間なく乗り物に乗れることです。笑

空高く上がり、一瞬で落ちたUFO。落ちるまでが怖くて怖くて心臓がヒュンてなった。

室内エリアもあって、雨の日でも楽しめます。

ニワトリがあぶられている輪投げ的なゲーム。こういうブラックユーモアがたまりませんね。

空に舞うかわいい蝶々と思いきや、悪役面した蛾。このチョイスもいいよね。

Information

九族文化村

住所 南投縣魚池鄉55544大林村金天巷45號

アクセス 台鉄台中駅から南投バス直通で1時間40分

料金 大人850元、子ども650元、シニアや障害者手帳を持つ人・幼児420元

ホームページ(日本語あり) https://old.nine.com.tw/webj/html/introduction/index.aspx

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