日本での仕事にも嫌気がさし、このままここにいても意味がないのでは…と思い始めた2018年の12月。
私は片っ端からネットを探してみていた。
台湾の人材仲介業者、台湾で働いている人のブログ、台湾就活について書いてあるブログ、台湾掲示板などなど。
出ている求人は、どれもビジネスレベルの中国語が必要だったり、全く興味が持てない分野だった。
他の人のブログを見ても、コネがきっかけだったり、台湾人と結婚している人だったり…。参考にはならなかった。
台湾で働いている日本人と自分との間には大きな溝があるように思えた。
どんなに頑張ってもたどり着けそうな向こう側。
やはり台湾で働くことは簡単ではないか…。
その時の仕事はテレビ番組の制作関係で休みがなかなか取れない職種であり、長い休みが取れたのが年末年始だけだった。
休めることが分からなかったために直前で買って高値になってしまった往復8万円超の航空券を握りしめて私は台湾へ飛んだ。
正直なところ就職のことばかりが頭にあってじっくり楽しめなかった。
でも何か得られるものはないかと、この時に台湾で働いているお二人に話を聞いた。
一人目の方には、
「なんで台湾に来たいの?」と質問された。
「台湾のいろんなところに行ってみたいからです」
「それなら旅行の方がいいんじゃない?物価も違うから、いざ現地の給料で働いてみるとなかなか移動できなくなるよ」と言われた。
そうかもしれない。でも台湾で暮らしたかった。
同じお金のない生活(日本での生活も金銭的に楽ではなかった)なら、遠くに移動するのが難しいならなおさら、週末にいつも台湾があるという場所がよかったのだ。
「ワーキングホリデーで来ちゃうってのもあるんじゃない?」とも言われた。
でも、ワーキングホリデーは嫌だった。
貯金がほとんどなく、仕事が見つかるまでの最初の生活が苦しい。
台湾人と同じ給料になり生活は楽ではない。
そのかたからは他にも台湾で現地採用で働いてから個人事業主として生計を立てていくまでのお話を伺った。
就労ビザを出してもらったけど、お給料は天引きされていたと。
「大学卒業仕立てのノースキルの若い人にそんなお金出す価値ないよね〜。就労ビザを出してもらうだけでもありがたかったわ〜」とお話されていて、そうか就労ビザをもらうことばかり考えていたけど、そういう風にありがたく思う気持ち時は自分にはなかったなと思った。
もう1人、台湾の日系企業で副経理をされている方からお話を伺った。
一度前にお会いしただけでちゃんと話はしたことなかったのだけど…。
とても良いアドバイスをもらえたのだ。
「雇う立場からすると、就労ビザを出すというのは大きな決断。
その時に『なんでもやります!』と意欲を見せられるとグッとくる」と。
そうか、そういう心意気が大事なのかと。
すっかり弱気になっていた私なのだけど、とても鼓舞されたのだ。
台湾で就職先なんて見つかるあてなんて全くなかったのだけど、
なぜか心は前向きだった。
そしてすっきりと晴れた心持ちで日本に戻ったのだった。
それから3ヶ月後、私は就職先を見つけ出した上で台湾にワーキングホリデービザで向かうこととなる。