これは私がまだ台湾に暮らし始める前の話。
社会人になってすぐ、台湾ではなくヨーロッパへの移住を真剣に考えたときの話だ。
その頃はとある北欧の国に移住したくて、でも実際に移住するには不安もあってモヤモヤしていた。
そこで知り合いの大学時代の教授に相談をした。
海外で暮らすのはそう簡単じゃないよと前置きした上で、先生は
「海外で暮らすなら、他人を頼る力を身につけたほうがいい」と言った。
その時はよく分からなかった。
他人を頼る力とはなんなのか。
自分としては他人には頼っているつもりだけど、どういうことなのか。(実際に先生に相談してるし…)
でも今、台湾に来て分かる。
- 小さなことでも、分からなければ他人に聞くこと
- 一人でできなくてどうしようもないことは助けを求めること
- 自分でできそうなことでも改善するために人にアドバイスを請うこと
これらが他人を頼る力なのだ。
具体的には、道が分からなかったら、人に聞くこと
知り合いがいなくてアパート探しが困難なときに、大学時代の友人にお願いして知り合いを紹介してもらうこと
日本語世代を探して、まだ面識のない人にメッセージを送って人を紹介してもらうこと
とても楽しい勉強会の主催者の方にまた誘ってくださいとずうずうしくお願いすること
この(良い意味で)他人に頼る力のお陰で、台湾での暮らしがとてもスムーズにいったのだ。
そしてどんどん道が切り開かれていった。
友人が増え、知見を得る機会が増えた。
まあ「日本にいたときに身に付けた」というよりも、徐々に獲得していったというのが正確だけれど。
今思うと、以前の私はなんでも一人でしてしまっていた。日本のシステムは素晴らしく、一人でも大抵のことはできる。
自分のことは自分で決める。何でも自分で調べて自分で探す。
家族ましてや他人に相談することは少ない。
しかし、このことは海外暮らしだと自分の首を絞めることになる可能性もある。
周りに母語が通じる相手がいなくて、現地の人ともコミュニケーションが取りづらい時。
孤独になる。
そして困難に出くわしたとき、自分だけで乗る超えようとすると、上手くいくこともあっても、上手くいかないこともあるだろう。
心が弱ければそれで潰れてしまうかもしれない。
他人を頼ることは最初はなかなか難しい。
ずうずうしく思えて躊躇するかもしれない。でも相手はそんなに気にしてないものだ。
他人を頼ることで、困っていたことがすぐ解決したり、新しいチャンスが巡ってきたり、相手との絆が強くなったりする。
だからもっと他人を頼るといい。
(良い意味で)他人を頼って生きることが、海外で暮らす上で必要なスキルであり、海外で身につくスキルなのだと思う。